本当にいい物を
私は中途半端に購入したくなかった
だから私は、木の椅子に3年座っていたのだ
みんなが座面の大きい心地よい椅子を購入したときも
「私はこれでいい」
こころからそう思った
未来の絵が見えてから
私は購入したかった
思い描く未来がまだ見えてもないのに
椅子が購入できるその価値観の違いを
当時私はかみしめていた
腰も痛かった
でも私なんかがふかふかの椅子に座ってはいけない
座る資格はない
そう思って歯を食いしばり事業に専念した
そうして事業が成長しその時が来た
私は代表に椅子購入確認したら食い気味に
『ええやんええやん、買ったらええよ!』
とすごく気前良い雰囲気で瞬時に回答がテキストで返ってきた
私は震える手で購入ボタンをクリック
ここまで来れた喜びと
一流の椅子に座れるありがたみに浸っていた
そんな幸せな時間もつかの間
何かにつけて椅子の費用と比較して
わたしを地味に追い詰める日々が始まった
おもえばおかしかった
あの異様なほど早い気前の良い解答
あれは怒りの裏返しだったのだ
あの違和感は確かに感じていたのに
どうして私は立ち止まらなかったのだろう
今はそんな自分に後悔する日々だ
ただ腰痛は緩和されている