平たく広がったお餅のなかには
うっすら中のあんこがみえる
表面には胡麻がたくさんついていて
外はさくさくで中はもちもちということが
見て取れる
私は店に一つしか在庫がない
その平べったい胡麻団子風絶対美味しい奴を
時間を忘れて見つめていた
そして気づくと
私はいつの間にかそ奴の会計を済ませていた
小さいくせにどっしりと重みのある奴を
大切に両手に包み込んだ
本当に楽しみだった
口の中でのサクサクのゴマの感触
香ばしい香りとあんこの甘み
きっと口にしたときのハッピーを想像して
私は心からうかれていた
だのに
まさか奪われるとは思いもしなかった
時間を戻せるなら
うかれていた自分に知らせてあげたい
このあと愉快犯にドロボウされるよ
食べたい人に譲ったわけではなく
私が楽しみにしているのを分かった上で強奪したということが
この胡麻団子が食べられなかった事より
私は悲しいのです